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総合研究棟D
筑波大学大学院
ニューロサイエンス学位プログラム

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行動神経科学とは

 行動神経科学分野では、神経科学の一分野として脳の機能を行動科学的に研究しています。同時に、ヒトの心(精神) のメカニズムを知ろうとする心理学の一分野 として、動物やヒトの行動の機能を生物学的、とくに神経学的基盤のもとに解明することを目指しています。なかでも本分野では、とくに記憶・学習のような、ヒトや動物の経験による行動の変容に焦点を当てて研究しています。具体的には、ラットやマウスを用いて、

① それらの動物の記憶・学習能力を測定する方法の開発
② これらの記憶・学習課題での成績に及ぼす脳損傷、神経毒投与、薬物投与の影響
③ 記憶障害を有する各種神経変性疾患のモデル動物の開発
④ 学習・記憶過程における神経伝達物質、伝達物質受容体の関与やその機構


に興味を持ち、研究を進めています。齧歯類の有するすぐれた空間記憶、作業記憶の能力は注目すべき点が多く、それらがどのようなメカニズムで現れているかを、 行動科学、生理心理学、行動薬理学の方法を用いて実験しています。また、精神疾患モデル動物を用いた向精神薬効果の評価にも取り組んでいます。

  Behavioral Neuroscience Field is trying to clarify the biological and neural mechanisms of various human and animal behaviors. We especially focus on the neural mechanisms of learning and memory in rats and mice: to develop methods to measure animal learning and memory, to examine the effects of brain lesions, neurotoxin treatment and drug treatment on learning and memory, to develop animal models of neural degeneration disease that includes memory disorder, and to analyze the involvement of neurotransmitter and receptor systems in memory and learning processes. We also work with the evaluation of psychotropic drugs using animal models of psychological and psychiatric diseases.
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これまでの研究の例

 グルタミン酸受容体のサブタイプのひとつであるNMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体は学習・記憶の生理的モデルである海馬の長期増強に関係していることが知られています。当研究室では、典型的な空間的作業記憶課題の1つである放射状迷路課題を用いて、この課題の遂行における海馬のグルタミン酸受容体の役割を検討してきました。あらかじめ放射状迷路課題を習得させたラットの海馬に、 NMDA受容体の拮抗薬であるAP5を試行の直前に投与すると、ラットは効率的に餌を取ることができなくなりました。次に、試行を前半と後半に分け、その間に2時間の遅延時間を挟むという遅延挿入課題において様々なタイミングで薬物を海馬に投与し、後半の成績への影響 を検討したところ、前半遂行の直前、あるいは後半遂行の直前に投与したとき、後半の誤選択数が増加しました。これらの結果から、NMDA受容体は空間的作業記憶の、とりわけ記銘と検索の過程に必要であることが示唆されました。一方で、自発的位置再認課題を用いて同様の遅延を挿入した実験を行うとやや異なる結果が得られたので、さまざまな課題で動物が要求される記憶の要素とNMDA受容体との関連を、さらに詳しく探っています。
当研究室では、放射状迷路をはじめ、恐怖条件づけやモリス水迷路、条件性場所選好など様々な実験パラダイムを用いて、動物やヒトの行動発現における神経伝達物質、伝達物質受容体の関与について検討し、記憶・学習を主とした認知機能の神経メカニズムの解明に取り組んでいます。

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研究題目

空間記憶、作業記憶における海馬の役割
脳内グルタミン酸受容体と記憶・学習
情動記憶の消去の脳内メカニズム

最近の学位論文の題目
修士論文
・ラットのモリス水迷路課題における迷路外空間情報と迷路内手がかりの選択と
 NMDA受容体の役割
・ラットのメタンフェタミンによる条件性場所選好における海馬NMDA受容体の関与と
 再燃モデルの検討
・ラットの遅延挿入放射状迷路行動に及ぼす試行前半の選択自由度の効果:
 選択可能項目の数と試行内位置
・ラットの匂い刺激を手がかりとした恐怖条件づけ:D-Cycloserineが消去の般化に
 及ぼす影響
・ラットの恐怖条件づけの消去における条件づけー消去および消去ーテストインターバルの
 効果
・ラットの放射状迷路における時間的順序記憶の研究:保持時間の効果と
 神経伝達物質受容体拮抗薬の効果
・ラットの長期自発的物体再認記憶の検索過程における海馬NMDA受容体の役割
・ラットの自発的場所再認における海馬グルタミン酸受容体の役割
・ラットのメタンフェタミンによる条件性場所選好の習得および再燃における
 ドーパミン受容体の役割
・ラットの心的外傷性ストレスが後の恐怖条件づけに及ぼす効果

博士論文(課程博士)
・Dissociable effects of retrosplenial cortex and hippocampal lesions on performance
 of spatial memory tasks in rats
・ラットの空間的作業記憶における海馬および前頭前野グルタミン酸受容体の役割
・ラットの長期的空間記憶における海馬内蛋白質新規合成の役割
・放射状迷路を用いたラットの時間的順序記憶の研究
・空間的作業記憶課題遂行におけるラットの指示性忘却と脳内関連部位の検討
・新生仔期NMDA受容体慢性遮断ラットの薬物誘発性過活動と連合学習
・ラットにおける条件性恐怖反応のストレス誘発性増強:PTSD動物モデルとして
・新生仔期NMDA受容体慢性遮断ラットの潜在制止に関する行動学的研究

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修了生の進路

前期課程修了者

任天堂株式会社、大日本住友製薬株式会社、愛知県職員、埼玉県職員などで活躍しています。

後期課程修了者

筑波大学、東京大学、東北大学、広島大学、金沢大学、茨城県立医療大学、浜松医科大学、
関西医科大学、理化学研究所などに就職しました。

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