博士後期課程

神経分子機能学分野

神経分子機能学分野には二つの研究グループがあります。

志賀研究グループ

神経活動の構造的基盤を成す神経回路網の形成機構について、主として実験動物を用いて様々な観点から研究を行っています。

睡眠科学グループ

最新の神経科学・ 分子生物学的アプローチにより睡眠の謎に挑んでいます。


神経分子機能学分野

志賀研究グループ

神経活動の構造的基盤を成す神経回路網の形成機構について、主として実験動物を用いて様々な観点から研究を行っています。神経回路は、ニューロンが標的領域まで軸索を伸長し、そこで標的ニューロンの樹状突起とシナプス結合することによって形成されます。

神経回路網の形成機構の解明は発生神経生物学における重要課題の1つであるのみでなく、自閉症をはじめとする様々な発達障害や神経損傷時の軸索再生機構の解明の手掛かりを与えると考えられています。当研究グループでは、次のようなテーマで神経回路網の形成機構の解明に取り組んでいます。

  1. シナプス形成と樹状突起の発達を制御する液性因子の解析 自閉症やダウン症では、モノアミンや神経ペプチドの異常が報告されています。そこで、ラットの大脳皮質、海馬や小脳の培養系を用いて、モノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)や神経ペプチド(CGRP、ニューロテンシンなど)のシナプス形成や樹状突起の発達における役割を解析しています。[Fig1: ラット大脳皮質 ニューロンの分散培養。PSD95:後シナプス部位のマーカー、synaptophysin:前シナプス部位のマーカー、MAP2:樹状突起のマーカー]
  2. Runxファミリー転写因子の神経回路形成における機能解析 転写調節因子Runx1とRunx3は、それぞれ血球細胞や胃粘膜上皮細胞の発生を制御し、白血病や胃ガンとの関連が示唆されています。これらの転写因子は神経系にも発現しますが、その役割はほとんど解明されていません。私達は、遺伝子欠損マウスを用いて、Runx1とRunx3の神経回路形成における役割を解析しています。[Fig2: 脊髄一次球心性線維の投射]
  3. 環境要因とセロトニン神経系 環境要因はセロトニン神経系(セロトニンニューロン、受容体、トランスポーター)に影響を及ぼすと同時に、記憶・学習や情動行動 などに異常を引き起こします。私たちは、マウスやラットを用いて、出生前ストレスや生後の生育環境が脳内セロトニン神経系および種々の行動に与える影響について解析しています [Fig3: ラット大脳皮質ニューロンにおけるセロトニン2A受容体の発現]。

研究題目

  • 神経回路形成を制御するモノアミンと神経ペプチドの解析
  • Runxファミリー転写因子の神経発生における機能解析

神経分子機能学分野

睡眠科学グループ

なぜ眠るのか、なぜ夢を見るのか、眠気や意識の実体は何なのか、睡眠は脳のどこでどのよう に制御されるのかなど、脳科学上の謎の多くが睡眠に関連しています。

私たちは最新の神経科学・ 分子生物学的アプローチにより睡眠の謎に挑んでいます。本グループは、文部科学省・世界トッ プレベル研究拠点プログラム(WPI)の一環である筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS) と連携しています。

  • 林研究室
    Fig. 1; http://hayashi.wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/index.html
    睡眠が進化の過程でどのように生まれ、なぜ私たちの生命に必須なのか、さらに、哺乳類と鳥類 にのみ見られるレム睡眠の意義が何なのかを調べています。そのために、哺乳類と原始的な脳を 持つ線虫に共通した睡眠の役割や分子機構の探索や、私たちが開発した「レム睡眠遮断マウス」 の解析に取り組んでいます。
  • ラザルス研究室
    Fig. 2; http://www.wpiiiislazaruslab.org
    私たちは、薬物依存や意思決定を司る脳の領域である側坐核において、カフェインが睡眠を促進 する神経調節物質アデノシンとその受容体(A2AR)の結合活性を阻害することで、覚醒を引き 起こすことを明らかにしました (Fig. 2)。 A2AR は睡眠障害治療の新たな創薬ターゲットとして 期待されます。
  • 坂口研究室
    Fig. 3; http://sakurai-sakaguchi.wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/
    我々は脳の再生医療を実現させます。脳の再生には、成体脳で新生するニューロンが、どのよう に既存の神経回路に組み込まれるかを知る必要があります。我々は、このメカニズムとして、新 生ニューロンが記憶ネットワークに取り込まれることを示しました。現在、この過程に睡眠が強 い影響を及ぼすことを示すデータを得ています。そこで、光遺伝学等の最新の技術を用い、睡眠 が、新生ニューロンの記憶回路への取り込みに与える影響を明快に示すための実験を行っていま す。メンバーは国際色豊かかつハードワーキングなため、研究の醍醐味を満喫できます。見学は 随時受け付けております。是非一度HP をご覧下さい。

研究題目

  • トランスジェニックマウス・線虫による睡眠の操作と その効果(林研)
  • 睡眠を制御する遺伝子や細胞群の進化発生学(林研)
  • オプトジェネティクスや脳深部イメージングなどの最新の技術を用いると、中脳辺縁系における睡眠のホメオダイナミクス、すなわち睡眠・覚醒を制御する脳神経回路を詳細に調べることができます(ラザルス研)
  • 脳の再生と睡眠 ( 坂口研)