博士後期課程

大学院教育では、大学教員や研究者の育成がその主な目的として位置づけられ、長年、この役割が最優先されてきました。この最高度の専門的教育研究に注がれてきた絶え間ない努力が集約された結果、今日の我が国の社会基盤の構築と発展があると思います。近年の急速な技術革新により高度に情報化された現代社会において、大学院教育に求められるニーズもまた改革を迫られたとはいえ、複雑な今の社会を人々は今後どのようにして生き抜いて行くのか、その的確な道筋が示せる先見性豊かな人材が求められており、研究者や教育者の育成という大学院教育に課せられた本来の使命の重要性は、これまで以上に増していると思います。

本専攻は平成13年度に5年一貫制大学院博士課程として発足し、「感性」を含めた人間のこころなど、従来の縦割り型の既存の学問体系では到底解明できない本質的な人間の教育研究を推進するために、芸術・心理・障害・医学にそれぞれ研究基盤をもつ教員の画期的な異分野横断型組織構成により学際的教育研究を推進して来ました。この間、平成15年度に21世紀COE拠点形成プログラム「こころを解明する感性科学の推進」が採択され、人間総合科学研究科が掲げた大学院教育内容を実践する代表的な組織の一つとして先導的な役割を担ってきました。

このような専攻の歴史を背景にして、平成20年度の区分制課程への移行・再編に伴い新たに発足した感性認知脳科学専攻博士後期課程は、区分制教育の後半3年間を担当する研究者・教育者育成に特化した教育システムとして位置づけられています。後期課程での教育ではCOEプログラムを通して培われた教育研究理念と実行性を受け継ぎ、また5年一貫制が持つシステムの利点も活かした、豊かな国際性を身につけ国内外で活躍できる研究者・教育者を育成するための教育内容の充実が図られています。

博士後期課程の教育研究には8つの研究分野が設置されており、前期課程で修得した幅広い異分野横断的知識と方法論を基盤に、人間に関わるさまざまな複合課題に関する博士論文の研究指導を通してさらに深化した専門性が育まれます。一貫制課程と異なり、准教授による研究指導体制を新たに導入し、多様な研究教育的ニーズに対応できる体制が整っています。後期課程での教育を受けた皆さんが、世界のどの国においても信用されるコミュニケーション能力と「感性」や「こころ」について俯瞰的な視点から研究を推進できる力を身につけ、国際的に活躍することを期待しています。

感性情報学分野

非意識的に活動する人間の「感性」というプロセスの解明に通じる研究の基礎を学び、その活用を実践することを目指します。

感性デザイン学分野

人間のこころに関連した広範な研究課題を多方面から観察し、人間の感性に基づいて概念の設計からデザイン評価までのデザイン開発の全プロセスを新たな観点で提案しています。

感性人間工学分野

よりよい製品やサービスのデザインを目指して、脳活動や行動指標による人間の知覚・認知特性の評価から産業応用のための標準化にいたる研究を行っています。

比較認知科学分野

実験動物を用いた研究を通して行動および心的機能について多角的なアプローチを試みている。

行動神経科学分野

動物やヒトの行動のメカニズムを生物学的、とくに神経学的基盤のもとに解明することを目指している。

精神機能障害学分野

精神医学的手法・行動科学的手法・心理学的手法・生物学的手法を用いて、病態や障害の解明および対応方法の開発の研究を行っています。

システム脳科学分野

システム脳科学分野には武井・野上研究グループ、松本研究グループ、設楽研究グループがあります。

脳型情報処理機構学分野

認知や学習、行動などの脳機能がどのような生理学的・解剖学的システムで実現されているかを理解するために、実験的および理論的研究を行っています。