専攻紹介

「感性」の解明をめざして

感性認知脳科学専攻は、人の高次脳機能である「感性」について分野横断的研究と教育を推進しています。「感性」というこれまでの学術的枠組 みでは扱い難かった包括的な高次脳機能の解明に自然科学的アプローチから迫ろうとしています。そのために、この専攻では芸術学・心理学・心 身障害学・臨床医学・神経科学を専門とする異分野の教員が各自のプロフェッショナルな学問体系を縦軸として、さらに「感性」という共通の言 葉でそれを有機的に架橋するインタラクティブな研究・教育組織の構成が図られています。例えば、芸術学の大学院生が脳科学の一般知識をも習 得できるような教育システムによって幅広い専門性を身につけ、「感性」に関わる人間のさまざまな活動を個体から遺伝子・分子に至るレベルで総 括的に理解できる新領域の人材育成をめざしています。この極めて異色な学問分野が一体化した専攻の実現には、その背景に筑波大学が既存の枠 組みに収まることなく、‘ 新しい考えや新しいものを如何に創造するか’ を念頭に絶えず最適なシステムづくり追求してきた歴史があり、先進性と 機動性という本学の特色があります。

本専攻が推進する基幹的研究テーマである「こころや感性の研究」は、平成15年度採択の21世紀COE プログラム「こころを解明する感性 科学の推進」や平成18年度採択の魅力ある大学院教育イニシアチブ「先導的・国際的な『こころ』の科学者の育成」からも明白なように、これ からの日本の社会に不可欠な最優先の重要課題の提起であり、極めて本質的な研究課題です。本専攻はこれらの教育研究プログラムの推進とともに、 システム脳科学分野・脳型情報処理機構学分野・神経分子機能学分野は「感性」発現の脳内メカニズムに関する物質的・構造的基盤の解明、比較 認知科学分野・行動神経科学分野は「感性」発現についての行動学的解析、さらに精神機能障害学分野は「感性」機構の変化としての自閉症につ いて臨床医学的研究を進めてきました。また、感性情報学分野・感性デザイン学分野は「感性」機能に含まれる“ ひらめき” や“ 創造性” に基づい たデザイン制作や製品製造のプロセスに脳科学的視点を取り入れた新しい設計論の構築を進めています。

平成20 年度から本専攻は前期課程(2年制)と後期課程(3年制)の区分制へ移行し、新たな高度専門教育システムを備えた専攻へと衣替えし、 大学院教育に対する社会ニーズに対応しながら、新しい学術分野としての「感性科学」の創成を目指しています。